フランス料理といえば!代表的なメニューやコースの流れ
フランス料理も気軽に楽しみたい© Paris Tourist Office - Photographe : Alain Potignon |
日本ではあまり見かけない珍しい食材や季節ごとの旬の食材の種類も豊富。地方に行けば名物料理だってたくさんあります。この国では星付きレストランから町の小さなビストロまで、お店の種類も頂ける料理もその選択肢はまさに無限。例えば美術館の名画鑑賞と同じくらい多くの発見と感動があるフランス料理を是非、堪能して下さい。
<目次>
フランス料理とは?メニューの特徴やコースの流れ
フォーマルな食事といえばフランス料理© Paris Tourist Office - Photographe : Marc Bertrand |
フランス料理の原型は、ルネッサンスの時代にイタリアから影響を受けながら形成され、宮廷料理として発展していったといわれています。前菜、メイン、デザートの構成が基本で、前菜はあまり重くなくすぐに食べられるもの、メインは肉や魚の料理と野菜などを使ったつけあわせが一緒に一つの皿に盛られ、その後デザートに甘いものが一皿ずつ順番に出されます。
より高級なお店のフルコースになると、突き出しのようなアミューズ・ブーシュ、前菜、スープが出され、メインは魚料理と肉料理がそれぞれサーブされ、チーズ、デザートと続き、最後は焼き菓子のプチフールとともにコーヒーで締めます。
逆に庶民的なお店では、メインだけで済ませることもあり、お店により出される料理の数も違います。
日本のフランス料理との違い
いつも新鮮な発見があり魅力が尽きない© Paris Tourist Office - Photographe : Marc Bertrand |
フランスでのフレンチで日本と違うところは、どのお店も非常に個性が強く、独創的だということ。同じ食材やメニューでも、お店により味はそれぞれ違い、好き嫌いも分かれます。いくら評判のよいお店でも常に評価は分かれる場合が多く、それだけお店に個性があるという証拠。
それから、こちらでは新しかったり珍しかったりする食材も積極的に取り入れます。最近ではパクチーや醤油などアジアの食材が使われることも多くなっています。ハズレの少ない日本のフレンチと比べ、いつも新鮮な驚きに出会えるのが本場で味わうフランス料理なのです。
フランス料理の流行
ファッションに流行があるように、フランス料理にも流行り廃りがあります。それは、例えばシェフであったり、食材であったり、また地方であったり、盛り付けの方法であったり。あらゆる角度からの料理の流行があるのがフレンチです。ひと昔前に「ビストロノミー」という言葉が登場し、ハイレベルな料理をカジュアルなビストロで食べるといったスタイルが非常に流行しました。また同時期にフランスの南西地方であるバスク料理も人気となり、バスク地方出身のシェフが注目され、「世界のベストレストラン」にランクインしたりと高い評価を受けました。
近年では、フランス料理ではあまり見られなかったバル形式のシェアスタイルがよく見られるようになっています。またガストロノミー界でも、エプロンをしたカジュアルなシェフが料理し、木製のナチュラルなインテリアといったような自然体のレストランが増えています。ミシュラン星付きのハイエンドなレストランでは日本人シェフの活躍が目立っており、日本人としては嬉しい限りです。
地方ごとの特徴と代表的なフランス料理
その土地の料理、思い切って試してみたい(写真はブルゴーニュ地方名物エスカルゴ)© Paris Tourist Office - Photographe : Amelie Dupont |
■イルドフランス地方
人気のジビエの一つ、雉(手前は豚の背肉のスライス) |
上:アルザス地方の料理といえばシュークルート/下:ブルゴーニュワインで煮込まれた牛肉はまた格別 |
ブルゴーニュ地方では牛の赤ワイン煮込みブフ・ブルギニョン、雄鶏の赤ワイン煮込みコック・オ・ヴァンが有名。そして忘れてはならないのが、ブルゴーニュ名物エスカルゴ。バターとパセリ、ニンニクで味付けされたものが定番です。「エスカルゴ=かたつむり」ですが、もちろん食用なので先入観を取り払って食べてみれば、貝より歯応えがあって美味しいということが発見できるでしょう。
食の都リヨンでは、豚の詰め物類が美味しい |
リヨンでは、豚肉の詰め物類(シャルキュトリ)やはんぺんのような食感の川魚のすり身クネルなどが有名です。山に囲まれたアルプス地方では、ジャガイモ、チーズ、ハム・ソーセージ類を鉄板で一緒に焼いたラクレットが名物料理。これが材料の素朴さにしては意外にも(!?)美味。
地中海に接する南のコードダジュール・プロヴァンス地方では、オリーブオイルを使ったフレッシュな料理が豊富。オリーブ、ツナ、アンチョビ、卵がトッピングされたニース風サラダ、マルセイユで味わえる魚介のスープブイヤベースなどは国外でも親しまれている代表的な地中海料理です。地元の人に人気なのが、干ダラ、オリーブオイル、牛乳を混ぜてペースト状にしたブランダード。干ダラの塩が程よく効いていて、ちょっとしたおつまみとしてもよく食べられています。
■南西地方
フォアグラは、濃厚でクリーミーな味わい |
フォアグラはその飼育方法が「強制給飼」といういささか残酷な方法のため、フランス以外の国では法律で生産を禁止するという動きがあります。そのため流通するほとんどのフォアグラがフランス生まれ。世界に誇る貴重なフランス食材です。内蔵とは思えない臭みのない濃厚でクリーミーな味わいとなめらかな食感は感動さえ覚えるほど。フランスに来たら是非とも食べて頂きたい食材の一つ。
そして白インゲン豆を羊などの肉類と一緒に鍋で煮込んだカスレもこの地方の名物料理。豆が熱とともに崩れ、半分ペースト状態になって肉の旨味と絡み合うと独特の風味が。好きな人と嫌いな人が分かれるのもこの料理の特徴です。
南のスペイン国境近くに位置するバスク地方では、赤ピーマン、ニンニク、トマトを煮て唐辛子で味付けしたピペラードが有名。シンプルにパンにのせて食べたり、オムレツやタルトの具にしたりと、様々な方法で味わうことができます。その他大西洋岸では、牡蠣の養殖も盛んです。
■北西地方
そば粉のクレープ、ガレットにはシードル(りんごの発泡酒)を |
中でも最西端に位置するブルターニュ地方では何といってもそば粉を使ったクレープ、ガレットと、それに合うりんごの発砲酒シードルがお手軽グルメとして親しまれています。その他、潮が引いた後の草原の草を食べて育つプレサレと呼ばれる羊は、肉に塩が自然にしみ込んでいて、非常に味わい深いブルターニュ名物。
一方で北のノルマンティー地方では、カマンベールチーズでも知られているとおり、乳製品が盛ん。バターや牛乳を使ったソース、煮込み料理が多いのも特徴。特にオージュ谷でとれるりんごのお酒を加えたクリームソースは鶏や子牛のソースとして使われ、鶏もしくは子牛のオージュ谷風としてノルマンディー地方の代表的な料理になっています。
季節ごとの特徴と代表的なフランス料理
フランス料理では、季節の旬の食材を使うことも多く、野菜類、肉・魚介類の中には、時期を選べば非常に美味しく食べられるものがあります。旬の食材を食べることは、季節感も楽しめるうえに、体にも非常によいこと。では、それぞれの季節で特に美味しく食べられるものをご紹介していきましょう。■春
子羊は肉がやわらかくなる春に味わいたい |
子牛や子羊もこの頃は肉がやわらかくなり、あっさりとした繊細な味わいを楽しむことができます。子羊はグリルにしローズマリーをふりかけるのが定番。ハーブの香りとジューシーな肉の味わいが非常にマッチします。
■夏
夏野菜とともに味わうマグロのソテー |
■秋から冬
兎も、秋から冬にかけてが美味しい |
ジビエではありませんが、兎も肉がやわらかくなり風味が増して美味しくなります。やはり煮込みが定番で、赤ワイン、野菜、ジャガイモとともにじっくりと煮込まれ、鶏に近い淡白な肉質からほんのりと甘さが感じられます。
フランスの牡蠣は生が美味しい |
本場で食べたい王道フランス料理ベスト5
マグレ・ド・カナール(鴨の胸肉)のステーキ |
■カナール(鴨)
コンフィ・ド・カナール(鴨のコンフィ)やマグレ・ド・カナール(鴨の胸肉)などの鴨肉料理はもはやフランス料理の定番中の定番。鴨のコンフィは、鴨肉を油浸けしたもので、鶏肉よりも繊維が細くほぐれるような食感と肉にしみこんだ塩味が絶品です。
鴨の胸肉は赤ワインやオレンジのソースを添えてステーキとして出される場合が多く、じわりと溶けるような脂と肉がとてもジューシー。焼き方はロゼ(レア)、アポワン(ミディアム)、ビアンキュイ(ウェルダン)と選べますが、おすすめはアポワン。鴨の旨味と柔らかさが丁度よいバランスで頂けます。メインとして出されるほかにも、塩をしみこませてスモークしたスライスが前菜のサラダの具として使われることも多いです。
■ステック(牛のステーキ)
やはりフランス料理に欠かせないのが牛肉。シンプルに焼いただけというステーキはいつどこででも食べられますが、それだけに店により善し悪しが分かれる非常に面白い料理でもあります。牛ステーキでそのお店の評価を決めるという料理評論家もいるくらいです。
ステックは牛ステーキの総称。牛肉はその部位でメニューに書かれることが多いので、牛肉(フランス語でブフ)という表記がない場合がほとんどです。主なものでは、オントルコット(ロース)、フォー・フィレ(サーロイン)、フィレ、更にフィレの中でも少ししかとれないという最高級の部位シャトーブリアンなど。やはり焼き方はアポワン(ミディアム)がおすすめ。外側でしっかり焼いて旨味を閉じ込め、内側は柔らかくジューシーな状態がベストです。
■アニョー(羊)
ジゴ・ダニョー(子羊の足)、スリ・ダニョー(子羊のすね肉)、コット・ダニョー(子羊のあばら肉)など、羊肉料理が豊富に揃うのがフランス。臭みがしっかりと取られた、柔らかい羊肉を是非味わってほしいと思います。
ニンニクとローズマリー、塩で香り・味つけされたシンプルなものや赤ワインでじっくり煮込んだもの、ローストして肉汁をたっぷりかけたものなど幅広い味つけや調理方法があり、肉好きなら好きになることは間違いないです。
フレンチの魚料理といえばスズキ |
番外編・デザート
■タルトタタン(リンゴのタルト) リンゴをふんだんに使ったタルト・タタンはフランスならではのデザート。リンゴを茶色くなるまでキャラメリゼし、タルト生地を載せて焼くだけのシンプルなケーキですが、ノルマンディー地方の上質なリンゴとバターの風味が豊かで大変人気があります。アイスクリームかホイップクリームが添えられているのが特徴で、濃厚な味わいが楽しめます。